発達障害と感覚過敏
人は生活をしていく中で、感覚器官から様々な感覚や刺激を受けて生活をしています。目・耳・鼻・舌・皮膚を通して受ける刺激は五感と呼ばれ、自分を取り巻く環境を認識するためにとても重要なものです。
しかし、これらの刺激に敏感で強く反応してしまう感覚過敏という特性を持つ方がいます。多くの人は刺激に慣れて気にならなくなりますが、感覚過敏の特性を持つ方は刺激に慣れることが難しく、日々の生活の中で不快感や困難を抱えてしまいます。感覚過敏は大きく分けて以下の5つがあります。
○視覚過敏
日光や蛍光灯などの光が眩しく感じ、目を開けにくい症状があります。また、明るさ以外にも色や文字などの情報の多さにも影響を受けることがあります。
○聴覚過敏
時計の秒針の音やエアコンの音など小さな音が気になって集中できないことや、会話中に環境音が気になって、会話の内容に注意を向けることが出来ないなどの影響があります。
○嗅覚過敏
洗剤や飲食物、人や乗り物などの匂いに敏感で、吐き気や頭痛を起こす方もいます。公共交通機関や人混みなどを避けがちになる可能性もあります。
○味覚過敏
味に敏感で特定の味のものが食べられなかったり、食感や舌触りに敏感で偏食になったりします。濃い味付けのものや辛さが苦手な方も多いです。
○触覚過敏
特定の衣服の肌ざわりが苦手で着ることができなかったり、マスクの着用が苦手だったりします。人との接触が苦手な方も多いです。
感覚過敏の特徴を持つ人として、HSP(Highly Sensitive Person)という言葉が認知されてきておりますが、発達障害の自閉スペクトラム症の特性を持つ方も同様に、感覚過敏による生活上の困難を抱えている人が多いです。
感覚過敏は周りから理解がされにくく、「我慢が足りないだけ」「わがままな人」と誤解を受けがちです。感覚過敏をすぐに治すこと難しいですが、周囲に理解してもらうことや自分なりの対処法を持っておくことはとても重要なことです。
当院では、過敏さを抑える薬を処方する薬物療法に加えて、周りの人への配慮の求め方を学んだり、同じ特性を持つ方々の中で対処法を探ったりする集団療法も行っています。日々をより生きやすくするために相談してみてはいかがでしょうか。
ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。(U)