発達障害(ADHD)で困りがちな、ついつい繰り返す「先延ばし」の行動習慣を改善しよう ②

✎ どうしたら長期的にメリットのある行動ができるの?
   前回のコラムでは、人はついつい短期的なメリット(目先の利益)にばかり着目してしまい、長期的に(結果的に)よくない行動を繰り返してしまいがち、というお話をしました。
   例えば、ついついゲームがやめられない、衝動買いしてしまう、家事や仕事を先延ばししてしまう、などです。
   では、どうすれば長期的に自分にとって望ましく、価値のある行動がとれるのでしょうか。

✎ 行動化のコツ1: 行動の順番を変えてみる
上記のような「やりたい行動」の前に「やるべき行動」をしてみましょう。
   ついつい、「このテレビを見終わったら ➡ 家事をやろう」と考えがちですが、「家事をやったら ➡ 好きなテレビを見よう」と順番を変えるのです。
   単純なことですが、これによって望ましい行動(例:家事をすること)が増えていくでしょう。
   これは心理学の行動実験でも証明されています。
   
   わかっているけど難しい?
では、次のコツはどうでしょう。

✎ 行動化のコツ2: 具体的なプランにする
「明日からダイエットしてください」と言われるのと、「朝ご飯は900カロリー、お昼と夕食を700カロリーに抑えることを目指します。
まずは今どのくらいのカロリーを摂取しているのか、1週間の食べたご飯を記録してみましょう」
と言われるのでは、どちらの行動が実行しやすいですか?

行動はできるだけ具体的にすることで、より実効度が上がります。
そのためには、「いつ」「どこで」「何を」「どのくらい(できるだけ数値化)」を意識してプランを立ててみましょう。

✎ 行動化のコツ3: 別の行動に置き換える
例えば、「イライラしたときの衝動買いをやめたい」という行動プランを立てた人がいます。
しかし、人は「~しない」というプランは行動化することがとても難しいです。
なぜなら、「~しない」というのは、「行動」ではないからです。
(極端ですが、「~しない」というのは、生命体以外の物体でもできます)
行動にするためには、「~する」というプランに置き換える必要があります。

ここでカギとなるのが「代替行動」と言われるものです。
「イライラしたとき」の対処法として「衝動買い」があるのであれば、
その代わりの行動を考えましょう。
例えば、「温泉に行く」「友達と遊ぶ」「趣味の登山に行く」など。
ある行動をやめたいときには、別の行動に置き換えるのが行動化のコツになります。

✎ 行動化のコツ4: 行動しやすい仕掛けを作る
「洗濯機が終わったらすぐに干したいけど、ついつい先延ばしして、翌日に洗いなおすことも・・」なんていう経験はありませんか?
そんなときは、「洗濯物を干しやすくする」ための仕掛けを作ることをお勧めします。
例えば、物干しスタンドをテレビの前やトイレの前に置いておきます。
そうすることで、「テレビをみるためには、まずは洗濯物を干してしまおう」という、行動が必然的に誘発されます。
少なくとも、一度は「物干しスタンドを触る」という行動までは実行できるはずです。
つまり、「その行動をせざるを得ない環境を作る」ことがポイントです。

以上、ついつい繰り返す行動の対策法について、いかがだったでしょうか。

とは言っても、なかなか一人ではプラン計画や実行が難しいときもあると思います。
大丈夫です!
そういった日常のお悩みにも、経験豊富な医師やスタッフが、ご一緒にお悩みの解決のサポートをいたします。
是非、お気軽にご連絡ください。(O)

2023年04月28日