第4章 自閉スペクトラム症への日記療法について
以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。
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日記療法は、森田療法を基に開発されました。森田療法は強迫性障害や対人恐怖症等の神経症圏を対象とした、日本人特性に合わせて開発された精神療法です。身体の不調や心理的変化があった時、注意を向け過ぎたり、取り除こうとすることで逆に不調感が増大するという経験はないでしょうか。これを精神交互作用と呼びます。森田療法はこの観点から、患者さんが症状へのとらわれから脱して「あるがまま」の心の姿勢を受け入れられるよう援助します。「あるがまま」の姿勢とは、不安や症状を排除しようとする行動や心のやりくりをやめ、そのままにしておく態度を養うことです。自分を受け入れ自分らしい生き方を実現することが森田療法の最終的な目標になります。