自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症(ASD)とは、対人関係やコミュニケーションの困難さ、強いこだわりや興味の偏りが特徴的な発達障害の一つです。
かつては自閉症やアスペルガー症候群などに分類されていましたが、現在は「スペクトラム(連続体)」として捉えられ、症状の程度や特徴には幅広いバリエーションがあります。
社会的な暗黙のルールを理解するのが難しかったり、特定の物事に強い関心を持ち続けたりする傾向があります。
また、音や光、触覚などに過敏な反応を示すこともあります。
これらの特性は幼少期から現れますが、大人になっても日常生活や対人関係に影響を及ぼすことが多いです。
自閉スペクトラム症の原因
自閉スペクトラム症の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や脳の発達の違いが関係していると考えられています。
近年の研究では、ASDの発症に関与する複数の遺伝子が特定されており、親からの遺伝が影響することが示唆されています。
また、胎児期の脳の発達過程において、神経ネットワークの形成に偏りが生じることがASDの特性につながる可能性も指摘されています。
ただし、ワクチン接種や親の育て方が原因で発症するわけではなく、ASDは生まれつきの脳の特性によるものであることが明らかになっています。
そのため、周囲の理解と適切な支援が非常に重要です。
- 遺伝的要因(家族内にASDの特性を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる)
- 脳の発達の違い(神経ネットワークの形成や伝達物質の影響)
- 環境要因(妊娠中の母体環境が影響する可能性があるが、決定的な要因ではない)
自閉スペクトラム症の症状
自閉スペクトラム症の主な症状は、対人関係やコミュニケーションの困難、興味や行動のこだわり、感覚の過敏性などです。
これらの特性は個人によって異なり、社会生活に大きな支障をきたす場合もあれば、独自の強みとして活かせる場合もあります。
自閉スペクトラム症の人は、会話のキャッチボールが苦手だったり、相手の気持ちを推測するのが難しかったりします。
また、特定の習慣やルールにこだわる傾向が強く、予期しない変化にストレスを感じることが多いです。
さらに、聴覚や視覚、触覚に過敏であることも特徴的です。
対人関係・コミュニケーションの特徴
- 相手の気持ちを理解するのが難しい
- 言葉の裏の意味を読み取るのが苦手
- 会話が一方的になりやすい
- 集団行動よりも一人のほうが落ち着く
こだわり・興味の偏り
- 特定の分野に強い関心を持つ
- 毎日のルーチンが変わると強いストレスを感じる
- 同じ行動や動きを繰り返す(手を振る、物を並べるなど)
感覚過敏
- 大きな音や明るい光が苦手
- 特定の服の素材が気になって着られない
- 痛みや温度の変化を感じにくいことがある
自閉スペクトラム症の治療法
自閉スペクトラム症の治療法としては、薬物療法よりも環境調整や行動療法が中心となります。
自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、併存する症状(不安・うつ・睡眠障害など)に対して薬が処方されることがあります。
また、ソーシャルスキルトレーニング(SST)などの支援プログラムが効果的です。
SSTでは、コミュニケーションの練習を通じて社会生活を円滑にするスキルを身につけます。
環境調整・支援
- 学校や職場での合理的配慮(座席の調整、業務の区切りを明確にするなど)
- ソーシャルスキルトレーニング(SST)
薬物療法(必要に応じて)
- 抗不安薬(不安が強い場合)
- 睡眠導入剤(不眠症がある場合)
- 気分安定薬(気分の波が激しい場合)